未だ見ぬ、奥深い味と香りを求めて

|メキシコの風、吹く[17]|
第三章 メキシコの風が吹く店①
日本のメキシコ料理のパイオニアがいる店「La Casita」

TEX-MEX、伝統的なメキシコ料理、そしてテキーラの風を追いかけてきましたが、まだまだ知らないことばかり。というわけで、本場の文化を伝えようと奮闘しているシェフのみなさんに各地の郷土料理や、名物料理をご紹介してもらいながら、メキシコのさらなる深淵へとご案内いたします。

代官山/La Casita

渡辺さんに再現していただいたコミーダの食卓。中央から時計周りに、食用サボテンのノパリートスサラダ1,000円、トルティージャ120円(1枚)、ライス・プディング500円、メキシカンライス(ハーフサイズ)700円、若鶏を唐辛子とオイルで煮込んだポージョ・アル・アヒージョ1,680円、トルティージャスープ780円、テカテビール780円。アヒージョはスペイン料理のものと異なり、オリーブオイルは使わず、旨みのあるパスィージャという唐辛子が味の決め手。メキシコのレストランでは一般的な料理。

名シェフが作る”コミーダ”でメキシコ流パワーランチ

どんな世界にも道を切り開いたパイオニアがいるものですが、日本のメキシコ料理のパイオニアこそ、オーナーの渡辺庸生シェフその人。ホテルの厨房に勤務していた頃、多様な外国人客と接する中でメキシコ料理に興味を持ち、単身現地へ。メキシコで修業した初の日本人となった渡辺さんが現地で驚いたのは、食材の豊かさもさることながら、1日のメインの食事が“コミーダ”と呼ばれる昼食であること。コミーダでは2、3時間をかけ、家族や仕事仲間とフルコースを楽しみます。それはかの地の気候に根差した合理的な習慣なのだと渡辺さん。「メキシコシティなら標高2,200m程で、富士山5合目くらい。アルコールがまわるのも早い、気圧の高い場所です。夜いっぱい食べると、身体への負担が大きい。昼にいっぱい食べてゆっくり消化し、夜は軽く済ませてから寝るんです」。メキシコの食事らしく、コミーダには明るい太陽の光が似合います。「現地の店のテラス席はとても賑やか。もちろん、昼からお酒が不可欠です。コミーダは大切な人とわいわい語らう、コミュニケーションの場なんですよ」。食べることが大好きなメキシコの人々。“食い倒れ”圏・関西出身の渡辺さんはそんな彼らとウマが合い、すっかりメキシコの虜に。本物を伝えたい一心で店を始めて39年、その情熱と愛が詰まった料理を食べ、メキシコ料理の滋味深さ、優しさのファンになってしまうお客さんは数知れず。今日も店は、現地のような賑いに包まれています。

1976年の創業当時は、メキシコのガイド本さえない時代、本物のメキシコ料理は全く知られていない存在でした。「本物を伝えることが自分の役割」と語る渡辺さんは、日本中のメキシコ料理店のシェフからリスペクトされています。

店内には渡辺さんが現地で集めてきた小物が飾られ、気取らない雰囲気。代官山という土地柄、近隣の大使館関係者の利用も多く、幅広い客層に愛されるお店なのです。

ラ・カシータ

TEL:03-3496-1850
住所:東京都渋谷区代官山町13-4 セレザ代官山2F
営業時間:12:00~16:00、17:00~22:00 LO(月のみランチなし) 火定休

Text:唐澤理恵
Photo:加藤純平

※こちらの記事は2015年6月20日発行『メトロミニッツ』No.152に掲載された情報です。

更新: 2017年1月13日

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