エレガントでロマンのある

|羊肉の饗宴[16]|
羊料理の魅力を味わえる店⑫
ストーリーのある料理を愉しめる店「Fiocchi」

ヨーロッパ、アジア、中東、アフリカ、アメリカ、そしてオーストラリアやニュージーランドまで、世界各地で愛されている羊肉。日本の羊肉料理と言えば、確かにジンギスカンくらいかもしれませんが、今、東京をめぐってみれば、これだけ素晴しい羊肉料理の数々に出合えます。

イタリア料理「Fiocchi」

米藁に包まれたヴァルド派の仔羊料理は、ピエモンテに伝わるイタリア史の1ページ

登場したのは、皿の上に鎮座する紙包み。そっと開くと、米藁にくるまれた仔羊の骨付きラック(背肉)が現れ、藁の香ばしい香りがふっと立ち上がります。この「仔羊の藁包みロースト」は、週に50皿も注文が入るお店のスペシャリテ。オーナーシェフ堀川亮さんの修業先、ピエモンテ州の名リストランテ「フリッポー」シェフ、ヴァルテル・エイナルド氏直伝の郷土料理です。「日なたの香りがしますよね」と、こんがり焼き上がったラックのかたまりを手早く切り分けながら、堀川さんは続けます。「キリスト教の一派、ヴァルド派が異端として追われ、たどりついた先がリストランテのあるピエモンテのペッリチェ渓谷。そこで農民として暮らしていた彼らが、畑から戻ったらすぐに食べられるよう、家を出る前に肉を干し草で包み暖炉に入れ、灰にはじゃがいもを埋めたのがこの料理の始まりです。じゃがいもも、ココット皿の中に灰で埋めて付け合わせとして出しています」。1皿に刻まれているのは、イタリア宗教史の1ページ。「ストーリーのある料理はイタリアらしさが伝わるから」という堀川さんは、ヴァルド派料理のコースも用意するほどの熱の入れよう。「実はヴァルテルシェフはヴァルド派の末裔。自分のルーツを誇りに思いヴァルドの料理を守っている。強い信念を持つ彼の姿勢を料理人として、ずっと見習いたい。ヴァルド派料理にこだわるのは、そんな気持ちの表れでもあるんです」

仔羊の藁包みロースト藁で包むと、肉に直接火があたらずしっとりした食感になり、「日なたの香り」も楽しめる。灰埋めの遠赤外線効果でほくほくのじゃがいもは、フォン・ド・ボーとバターのソースをたっぷりつけて召し上がれ。各コースにプラス700円(税抜)で注文可。要予約

フィオッキ

TEL:03・3789・3355
住所:東京都世田谷区祖師谷3・4・9
営業時間:11:30~15:30(14:00LO)、18:00~23:30(21:00LO) 水定休

Text:浅井直子、松本典子
Photo:井上美野、柳大輔

※こちらの記事は2015年2月20日発行『メトロミニッツ』No.147掲載された情報です。

更新: 2017年2月28日

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