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|メキシコの風、吹く[16]|
第二章 テキーラの風、吹く
次に来る風、“メスカル”とは?

今、メキシコではテキーラより日常的に飲まれていて、近年アメリカで起きたブームが世界にも広がっているというクラフトなスピリッツ「メスカル」とはいったい? 昨年末、六本木にオープンした、アジア最大級のメスカル専門店で話を伺いました。

実はテキーラより奥深い?手仕事が作り出す「メスカル」の魅力

教えてくれたのは、ラ・メスカレリアヒカラ フェリー・カデムさん

PROFILE
リードオフジャパン株式会社飲食事業部統括責任者。テキーラ80種を扱う同社経営のレストランを経て「AGAVE」「JICARA」の立ち上げから統括する、テキーラとメスカルの伝道師

 

まず知っていただきたいのは、テキーラは元々、メスカルの一種だということです。テキーラのように、メスカルにも途中から原産地呼称制度(約9割が生産されるオアハカ州などの8州が特定地域で、3州はテキーラと重複)ができて、別々の扱いになりましたが、元々はアガベアスール1種類のみを使って特定の5州で作られたメスカルをテキーラと呼ぶようになったんですよ。メスカルが世界で知られるようになったのは、アメリカが注目したのがきっかけですね。2~3年前からNYで流行り始めて、サンフランシスコやロンドンにもメスカル専門店があります。メキシコでも変化があり、ほとんどの店でテキーラよりメスカルの方が飲まれるようになっています。

一番の特長は、400年前の製法を踏襲している手作り感。手作業での少量生産が大半のため、毎回近い味ですが全く同じにはならないのが魅力なんです。一部のテキーラはオートメーション化して大量生産されていますが、ほとんどのメスカルは電気や機械を使わず、発酵も自然発酵。スモーキーな香りの大部分は、地中に穴を掘り、火山石や薪を使ってピニャ(アガベの根茎)を1週間から10日間ローストすることで生まれます。アガベは47種が原料として認められていて、中には険しい場所に生える野生種もあるので採取にも手間がかかり、テキーラは1週間で作ることもできるのに対し、メスカルはその4倍の1カ月かけて作られています。味わいはアガベの種類によって、スモーキー、甘み、苦み、クセのあるもの、すっきりからまろやかまで幅が広く、こんなに物によって味が違うのはメスカルとテキーラしかないと思いますね。テキーラにはミックスタイプがありますが、メスカルは全てアガベ100%。本当に二日酔いしにくいので、その点も注目されています。テキーラはアルコール38度ですが少し刺激があるのに対し、メスカルは47度前後で高めですが口当たりが柔らかいので、水で言うとテキーラは硬水、メスカルは軟水という感じでしょうか。

この店では、ヒカラ(店名の由来)というひょうたんの殻を器にしてメスカルを飲むオアハカ州のスタイルを取り入れていて、どこか日本酒のお猪口みたいで日本の方も馴染みやすいんじゃないかなと思います。また、メスカルはフルーツや野菜と相性が良く、カクテルのミクソロジーとしてもすごくいいお酒。ソーダ割りも美味しいので、ハイボール文化のある日本でメスカルハイボールを流行らせたいですね(笑)。

話を聞いたフェリーさんのお店「La Mezcaleria JICARA Bar&Grill」 <六本木>

200種が揃う圧巻のコレクション

昨年12月に誕生した、日本初のCRM(メキシコ メスカル品質統制委員会)公認バー。メスカル200種以上の品揃えはアジア最大級で、アメリカでメスカルが話題になる数年前の、6年前から出店を考えていたそう。酒器に使うヒカラの殻が味をまろやかにするストレート、野菜やフルーツを使ったオリジナルカクテルなど、多彩な味わいを堪能できます。メスカルの魅力をすでに知る外国人がこぞって集い、日本人の愛好家も増加中。“中南米の大統領のサロン”をイメージした空間で、メスカルをノーチャージで愉しめる至福がここにあります。

店内にはテーブル席や個室もあり、グリル料理をメインに南北アメリカとヨーロッパを融合した「ニューラテン料理」を愉しめる

おすすめカクテル

キュウリのアガベ・ジュレップ

メスカル「ドナヒ」を使用したモヒートで、キュウリの爽やかな青みとアガベシロップの甘みが絶妙にマッチした1杯。1,800円

ラ・ メスカレリア ヒカラ バー&グリル

TEL:03・5411・8731
住所:東京都港区六本木7・18・11 DMビルB1F
営業時間:18:00~翌2:00、金・土~翌4:00、祝日~24:00 日定休

Text:松本典子、浅井直子
Photo:花村謙太朗、今井広一

※こちらの記事は2015年6月20日発行『メトロミニッツ』No.152に掲載された情報です。

更新: 2017年1月6日

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