Mamma mia! Che buono!!!

|美味しい南イタリア[8]|
南イタリアの美味しい授業Vol.4
Napoli Pizza Studyーナポリピッツァ学ー

数ある東京のピッツァの名店の中から、今回紹介するのはこちらの3店。南イタリアはカンパーニャ州・ナポリで修業したり、ナポリ生まれのシェフがいるお店に絞って、「ナポリピッツァとは?」という素朴な疑問を探ってみました。するとピッツァ=寿司説が浮上!?

ナポリピッツァのことなら、まずは、ナポリ人に聴け!

ということで「ダ・イーヴォ」のイーヴォさんは、ピッツァの歴史から語ってくれました。「〝ピッツァ〟という言葉は997年の文献には登場しています。さかのぼればピッツァの前身とも言えるフォカッチャのようなパンは3000年位前からありました。1600年代には〝ラルド〟と言われる豚脂とチーズ、バジルで作られた今のピッツァに近い〝マストゥルニコラ〟が誕生。1700~1800年代にモッツァレラやポモドーロが登場して、今親しんでいるような“ナポリピッツァ”の形になります。1889年にはナポリを訪れたイタリア国王と王妃マルゲリータにピッツァが献上されますが、王妃がいたく感激。ポモドーロどモッツァレラ、バジルからなるピッツァを“マルゲリータ”と呼ぶようになったそうです」。

スラスラとピッツァの歴史を語るイーヴォさん、さすがです。家でもマンマの手作りピッツァを食べていたそうですが、それは職人が作るピッツァと比べて生地は厚く、素朴なもの。来日して16年になるイーヴォさんは、ナポリ人にとって欠かせないピッツァを自身も大好きなお寿司に例えました。「目の前にあれば、いつでも食べたいと思える。それが我々にとってのピッツァであり、ナポリの象徴。マンマが作ったピッツァは、お母さんが作るちらし寿司で、職人がつくるピッツァは、お寿司屋さんで食べる握り」。ファストフードと思われがちだけれど、実はピッツァは手間ひまかかるスローフード。「ラ・トリプレッタ」の太田さんも「寿司って仕込みに時間がかかるでしょ。ピッツァも焼く時間は60秒前後だけど、生地を2日かけて作ったり、本当は仕込みが肝な料理なんですよ。素材の持ち味を引き出すという点でも寿司とピッツァは似ていると思います」。各お店によって価値観は違えど、歴史があり庶民に愛されてきた国民食という認識は奇しくも共通。そこにあるのは細かい定義ではなく、ピッツァを心から愛する気持ち、なのかもしれません。

ナポリ人の誇りが詰まった天然酵母のピッツァ

リストランテエピッツェリアダイーヴォ[広尾]
da Ivo

「伝えたいのは本場の味」と言い切るオーナーシェフのイーヴォ・ヴィルジーリオさんは、生粋のナポリ人。イタリアの祖父から受け継いだ天然酵母を使用したピッツァは、発酵に手間がかかる上に、気温が下がると「あの子たち(寝かせた生地のこと)が風邪ひいちゃう」と心配になるほどナイーヴなのだとか。粉は、日本産とイタリアから輸入したものを独自の配合でミックス。ナポリから職人を呼んで組み立てた自慢の窯に入れて、イースト生地よりも少し時間をかけて焼いていきます。今回紹介するのは、イタリアの星付きレストランなどを経たイーヴォさんらしく、ひと手間かけた自家製サルシッチャと水牛モッツァレラのスモーク(こちらもナポリから!)をのせたピッツァ。天然酵母の生地が持つほのかな酸味がモッツァレラやサルシッチャを引き立てています。「薪窯から出た瞬間、外側はサクッ、中はもちもちの食感が味わえるのがナポリピッツァ。ただし、外側のサクサクはすぐに消えてしまうので、ナポリでは窯のすぐ近くで焼きたてを食べます。時間が惜しいのでピッツァカッターも使いません。アツアツのピッツァをすぐに食べたいんです」。本場では出来たてをナイフとフォークで食べるそうで、イーヴォさんのところに行ったらナポリ流の食べ方でぜひ!

サルシッチャ フンギ エ プロヴォーラ

3,456円

店内の絵画やスタッフの服装など、ナポリの道化師「プルチネッラ」がこちらのお店のモチーフになっています。イーヴォさんも“楽しませたい!”精神が旺盛で、アクロバティックにピッツァの生地をのばしてくれることも。

03-5793-3121
東京都渋谷区広尾1-6-10ジラッファビル1F
11:30~14:00LO、18:00~22:00LO無休

このマルゲリータはまさにナポリそのもの!

ピッツェリアエトラットリアダイーサ[中目黒]
da ISA

「ナポリでの修業時は、ピッツァを焼く以外にも、雑用をこなす、ナポリ弁で話す、歴史を知るなど、現地の生活や文化を理解しなければ、マルゲリータは作れないと思っていました」と話すのは2010年のオープン以来、客足が絶えない「ダイーサ」のオーナーピッツァイオーロ、山本尚徳さん。ナポリの名店「イルピッツァイオーロデルプレジデンテ」での修業を経て、本場の味だけでなく、ナポリ人ととことん付き合って体得した「ナポリらしさ」も大切にしています。「向こうでは市場で買ったタコやシラスを持ち込んでピッツァにのせてくれっていう人も多くて(笑)。だからうちでもメニューに載っていないトッピングに対応しています」。ナポリから呼び寄せた職人が作った窯をステージに、山本さんが伝えたいのは「ナポリそのもの」、なのです。

マルゲリータ

03-5768-3739
東京都目黒区青葉台1-28-9
11:30~14:00、17:30~21:45LO 月定休

突如、ムサコに吹いたナポリの自由な風

ラトリプレッタ[武蔵小山]
La TRIPLETTA

ナポリの老舗リストランテ・ピッツェリア「マリーノ」での修業経験もあるピッツァイオーロの太田賢二さんが焼いてくれたのは、モッツァレラ、ミディトマト、ナポリサラミ、バジルがのった「ピッツァチーロ」。ナポリ時代の師匠の名前を冠したピッツァは、彼の気が向いた時だけ作ってくれた思い出の味なんだとか。最初は「生地も触らせてもらえなかった」太田さんに師匠がこのピッツァを焼いてくれたのは半年経った後のこと。「向こうでは“ピッツァはこうでなきゃ”という決まりごとがなくて、コミュニケーションを取りながら、お客さんの好みに合わせて自由に作るんです」。ナポリで一番学んだことは「自由」。今ある環境の中でベストな表現をしていけばいい。「だから、ナポリピッツァじゃなくて“ムサコピッツァ”と呼ばれてもいいと思っています(笑)」。

ピッツァ チーロ

1,400円

03-6451-3537
東京都品川区小山3-13-12
11:30~14:30LO、17:30~22:30LO第3火定休

Text:浅井直子 Photo:牧田謙太郎、よねくらりょう(La TRIPLETTA)

※こちらの記事は2014年4月20日発行『メトロミニッツ』No.138に掲載された情報です。

更新: 2016年12月2日

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