SEASON OF SUSHI[WINTER]

|尊敬できる鮨[9]|
その季節にいただきたい旬の鮨ダネを知る
「冬の魚介を知る」

旬の鮨ダネを知れば、季節の訪れを感じたり、その時期ならではの味に出合えたり、鮨をいただく時間がより豊かになります。主な鮨ダネの旬をご紹介しますが、獲れる場所で旬も変わり、世界中から旬ネタを仕入れる店も。あくまでガイドラインと心得て、季節の美味を楽しみましょう。

厳しい冬の大自然に感謝!鮨屋通いがもっとも楽しい季節。

寒さが深まるごとに脂や味が乗るのに加え、身の詰まったネタが多く出てくるこの時期。特に日本海や北方の海では、季節風による荒波にもまれることで、魚の筋肉がぎゅっと締まるのがその理由です。いつもの呼称に「寒」を付ける「寒ぶり」「寒びらめ」「寒がき」「寒しじみ」など、他の季節とは別格扱いになる品種も多数。その他、貝類も豊富に。各地の漁場も水揚げ量が増し、海産物が豊かになる冬は、鮨屋で扱う品種もぐっと増えて、鮨好きには悩ましい季節でもあるのです。

平目(ヒラメ)(bastard halibut)

マダイと並び、白身魚を代表する高級魚。「寒びらめ」と言われるように、冬場のおいしさに定評がある。生で握るのが一般的だが、江戸前鮨では昆布締めにすることも。昆布の旨味がひらめの味わいをぐっと深くする。

鰆(サワラ)(japanese Spanish mackerel)

冬場、脂が乗ったとろけるような食感は、マグロの中トロにも匹敵すると評される。出世魚で大きさにより名前が変わり、70cm以上のものがさわら。江戸前の握り鮨以前から押し鮨やばら鮨に使われ、西日本ではメジャー。

本鮪(ホンマグロ)(黒鮪(クロマグロ))(pacific blue fintuna)

誰もが高級ネタとして名を挙げる、マグロの最高峰がこちら。一般的に本マグロと言われるのはクロマグロで、世界の漁獲量の実に1/4を日本人が消費するという人気ぶり。脂が乗った冬には大トロがたっぷりととれる。

青柳(アオヤギ)(rediated trough-shell)

東京近郊で呼ばれる「あおやぎ」という名は、元々この貝が多く獲れた千葉県市川市の地名。身の先端がピンと立ち上がっているものが上物とされる。甘みの後に独特の苦みが広がるが、鮨通にとってはそれがたまらない。

赤貝(アカガイ)(bloody calm)

江戸時代から好まれてきた伝統のネタ。昔は東京湾で多く水揚げされていたため安価だったが、現在はほとんど見られなくなり、高級鮨ネタとなった。赤い身の色は、哺乳類と同様、ヘモグロビン系の血液が流れているから。

蛸(タコ)(octopus)

旬は年に2度。最初の産卵期である夏場もいいが、2度目の産卵期を控え、ゼラチン質が増えて甘みが強い冬も美味。ほとんどは水揚げ港で茹でて出荷される。兵庫県明石や熊本県天草の他、東京湾のものも人気が高い。

鰤(ブリ)(japanese amberjack)

春に列島を北上し、秋から南下する回遊魚。出世魚で、鮨ネタとして食べるのは「いなだ」から。その後「わらさ」を経て「ぶり」となる。「寒ブリ」の濃厚さは言わずもがな。現在では養殖ものを総称して「はまち」と言う。

甘海老(北国赤海老)(アマエビ(ホッコクアカエビ))(pink shrimp)

今でこそよく見かける鮨ネタだが、80年代までは産地でしか食べられていなかった。冷凍輸入ものの普及とともに一気に知名度アップ。北海道や新潟県産の国産あまえびは上品な甘みがあり、外子(卵)がついていることも。

金目鯛(キンメダイ)(splendid alfonsino)

世界中に生息する深海魚だが、伊豆半島などで獲れる「トロキンメ」は大トロのような食感が味わえるなど、鮨界での国産金目鯛の需要は高い。つやつやと脂が乗った見た目に反し、食べると意外にもさっぱりと上品。

白魚(シラウオ)(icefish)

細魚(サヨリ)(halfbeak)

もっと鮨ダネのことが知りたくなったら

『すし図鑑』(マイナビ、1,512円)『からだにおいしい魚の便利帳』(高橋書店)の執筆や、ウェブサイト「市場魚貝類図鑑」(www.zukan-bouz.com/)を運営するぼうずコンニャク氏が、高級鮨店のタネから回転ずしでお馴染みの定番ダネまで351貫を解説。魚の生態から旬、そして文化的なウンチクも網羅し、鮨屋に持っていきたいハンディサイズの1冊。

Text 唐澤理恵
Photo 藤原昌高(ぼうずコンニャク 市場魚貝類図鑑)

※こちらの記事は2015年2月20日発行『メトロミニッツ』No.148に掲載された情報です。

更新: 2016年12月1日

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