”豊食の時代”を振り返る

|Tokyo Food Journal[14]|
キーワードでたどる!TFJ Calendar-Part07-
7月?8月に登場した6つのキーワード

ここからは、今年東京にオープンした数多の飲 食店の中から、特に東京のフードシーンに影響 を与えたであろうお店を総ざらい! つまりはメト ロミニッツが気になったお店カレンダーとも言 えます。 そこから見えてくるキーワードと共に、1 月から12月まで駆け足で振り返りましょう。

|KEYWORD|二毛作店

昼はカフェ、夜はバーなどといった1つの店で業態の異なる営業を行う二毛作スタイルの店。そんな中、2015年はミシュラン獲得フレンチや、肉料理に特化したイタリアンも参入を果たした。

メリハリを利かせたデザート6品をコースで

広尾/スイーツレストラン
【閉店】KIRIKO NAKAMURA

東京のフレンチを牽引する「Quintessense」の跡地にオープンし、世界最速の2カ月でミシュランの一つ星を獲得した「TIRPSE」が、今年の夏にランチタイムを休止し、同店でシェフパティシエを務める中村樹里子さんのデザートコース専門店を1年間限定でスタート。中村シェフが作るのは、フルーツの食感や甘みに、温度の強弱を組み合わせた素晴らしいバランスのデザート6皿。「パリで食べたフランス菓子の味が忘れられないんです。フルーツの味わいが凝縮されていて、素材そのものを食べているようで…」と中村シェフ。その思いをひと皿ひと皿に込めて、出来立てで提供していきます。「最後まで楽しんでもらえるよう、油脂分や空気量に工夫をこらし、すーっと入っていく食後感を大切にしています」。

 

デザートコース3,780円は、季節を感じてもらいたいと隔月変わり。写真は、和梨と洋梨を掛け合わせたひと皿。「何が出てくるかわからないワクワク感も楽しんでいただけたら」と中村シェフ。デザートコースは8組限定の完全予約制

?肉好きのためのイタリアンによるサンドイッチ

修行を積んだイタリアで出会い、かねてより親交の深かった3人。横内さんは竹内ご夫婦のキューピットにもなったそう

西荻窪/サンドイッチカフェ
3&1 Sandwich

イタリアで肉の解体から熟成まで習得した、“肉名人”シェフによる「trattoria29」が手がけたのは、サンドイッチ専門店「3&1Sandwich」。仕掛けた人は、“肉名人”こと竹内悠介シェフと舞さんご夫婦と、都内有名店などでパンやお菓子を学んだ横内美恵さんの3人です。「僕らがランチを始めるとしたら、今までとは違った新しくておもしろいことをやりたかったんです」と竹内シェフ。だからこそ、イタリアンのランチの主流、パスタやピッツァではなく、サンドイッチが終着点になったんだそう。「trattoria29」の肉に寄り添うようにと3人が考えたのは、ナポリピッツァ専用粉にわずかな塩分を加えて焼き上げる自家製パン。モチっと強い食感のパンが、甘みと旨みたっぷりの肉を包み込みます。

トレエウーノ サンドイッチ[3&1 Sandwich]
電話:03-3301-4277
住所:東京都杉並区西荻北2-2-17
営業時間:11:30~14:00(L.O.13:30)
月曜日(加えて月に2回不定期で火曜日休みあり)

アンガス牛のステーキサンド1,800円。ステーキ、バルミジャーノ、ルッコラ、バルサミコソースをサンド

|KEYWORD|進化系おむすび

2015年、メディアを賑わせた「おに ぎらず」。流行を反映するかのよう に、スティック状やハワイ風にアレ ンジした「進化形おむすび」も登場。

和の心が息づくハワイアンおむすび

定番と月替わりの11種類を用意。写真はスパ ム360円、ロコモコ380円、タンドリーチキン 380円、枝豆と桜エビ270円(左から)

広尾/おむすび専門店
ALOHA FARM CAFE

巷が「おにぎらず」で沸く最中、オープンしたこちら。日本同様、米 文化を持つハワイで有名なスパムおむすびをヒントに、全国の 食材を“ハワイアンスタイルおむすび”にアレンジします。おむすび の持つ安心感を引き継ぎ、具もソースも店内でみんな手づくり。 日本人の味覚に合うようにと、具材のスパムを2度焼きして油っ ぽさを落とすなど、さっぱりヘルシーに仕上げます。味も形も進 化したおにぎりだけど、私たちの和の心にそっと寄り添います。

アロハファーム カフェ
電話:03・5422・7229
住所:東京都港区南麻布5・15・22 HIROO BOX PARK #103
営業時間:火~金8:00~17:00、土・ 日・祝9:00~ 月定休

|KEYWORD|ファストカジュアル

高品質のこだわり料理をスピーディーに提供するファストフード以上、カ ジュアルレストラン未満の店のことを指す。徐々に東京に根付いており、モス カフェやスタバなども実は該当すると言う。

健康的なベジスタイルを提案

外苑前/カフェ
CITRON

「敷居の高いダイニングのような店ではなく、もっと気軽にベジタリアンフレンチ を提供したくて。まさに、ファスト・カジュアルスタイルの店をイメージしてました」と は、フランス人オーナーのジョナサン ベルギッグさん。自身がベジタリアンである ため、3年前に来日して以来、東京での食事の難しさを痛感したと言います。そこ でオープンしたのが、最高級の有機野菜を使ったベジタリアン料理を提案する「 CITRON」。ジョナサンさんの思い通り、サラダやキッシュ、グラタン、スイーツが並 ぶショーケースを設えた1階カウンターで料理をオーダーし、2階でイートインす るスタイルで雰囲気も価格も実にカジュアル。それでいて、自家製キッシュの生地 にナツメグなどのスパイスを練りこんでいたり、サラダバーはカスタムOKだったり と、食材と手作りへのこだわりがいっぱいでサービスも充実させています。

サラダ、スープ、パンが付くラン チのキッシュセット1,190円に、自家製レモネード290円、 シュークリーム(2個)470円をプラス

シトロン
電話:03・6447・2556
住所:東京都港区南 青山2-27-21 セイリンビル1F・2F
営業時間:月~土11:00~23:00(22:00LO)、 日~18:00(17:00LO) 

|KEYWORD|餃子バル

ここ数年で、大衆なイメージだった餃子専門店の“餃子バル化”が進 行中。「くつろぎ居酒屋系」や「おしゃれカフェ・バール系」がある。

フレンチのシェフが手がけた「餃子×ワイン」の新しい在り方

青山/餃子バル
GYOZA BAR Comme à Paris

今、パリでは日本流の餃子をワインで楽しむのが人気。そのスタイルを逆輸入し、今年の8月に誕生したのが「GYOZABARCommeáParis」。一見するとビストロのようなカジュアル空間ですが、餃子の専門店。フレンチジャポネーゼレストラン「鳴神」のオーナーシェフである鳴神正量さんがプロデュースしているため、料理にも洋のエッセンスが。餃子はニンニク不使用で野菜をたっぷりと使ったシンプルな品で、ポイントになっているのはオリジナルソース。ジンジャーとガーリックが効いたトマトソース、白味噌とハーブ、ビネガーを合わせたハーブソース、黒ゴマと山椒などの香辛料による黒ラー油ソースの3種類が用意されています。鮮やかな見た目で味も折り紙つき。洗練された店内でおしゃれに餃子が食べられる、新名店です。

(右上)乾杯は辛口の「ブリュットカルトノワール」9,000円(ボトル)と一番人気の「野菜ギョウザ」520円で(左)「オニオンスープグラタンギョウザ」920円は、プリプリの水餃子とスープのうまみがマッチ

ギョウザバー コム アパリ
電話:03・6427・6116
住所:東京都渋谷区渋谷2・2・4青山アルコープ205
営業時間:17:00~26:00(25:00LO)

|KEYWORD|ソイタリアン

5月に開幕したミラノ万博で、日本ならではの「ソイタリアン」が高評価を得た。それは牛乳ではなく、豆乳・大豆を用いたイタリア料理のこと。

日本が世界に誇る食材・豆乳がイタリアンと融合し新ジャンルを築いた

「サーモンのパリパリパート包みたっぷりのいくら豆乳クリームとブロッコリーのエスプーマとサラダ」(コースの中の1品で、通常メニューをソイタリアンに変更可)と「ゆずのソイティラミス」864円

丸の内/イタリア料理
IL GHIOTTONE

今年、ミラノ万博で紹介されて以来、日本でも注目されるようになった「ソイタリアン」。それをプロデュースしたのは、京野菜を食材に取り入れるなど“日本”を見事に調和させた本格イタリア料理のシェフ、「イルギオットーネ」の笹島保弘さんでした。そして、イルギオットーネではこの9月から「ソイタリアン」がメニュー入り。それは基本的に「料理で使用している牛乳を豆乳に代えてもらえるサービス」が始まったとも言えますが、ドルチェでは「ソイティラミス」がレギュラーメニューとなりました。使用しているクリームもチーズもすべて大豆由来なのに濃厚で、上からふんだんに振りかけられているのはきなこ。今はゆずのティラミスが提供されていますが、季節ごとに味わいは変化していきます。なお、現在、都内約25軒のお店でソイタリアンメニューを扱うようになり、その輪は徐々に拡大中です。

イルギオットーネ 丸の内
電話:03・5220・2006
住所:東京都千代田区丸の内2・7・3東京ビルTOKIA1F
営業時間:11:00~14:00(LO)、18:00~21:00(コースLO)不定休

|KEYWORD|コラボ店

様々な業界でコラボが盛んに行われている今、レストランも例外ではない。2015年は、それぞれの道を究めてきた料理人同士のコラボも話題に。

季節の食材で燻製料理を和の味わいに

旨みたっぷりの外子やプチプチ食感の内子も楽しめる香箱蟹1836円、鴨ロースの燻製1080円。料理長・杉本英晃さんが腕を振るう

人形町/和食
けむり×賛否両論

燻製料理店「けむり」と人気和食店「賛否両論」のコラボ店、その名も「けむり×賛否両論」が今年オープン。前例のない燻製料理と和食のコラボ。立役者となったのは、「けむり」のオーナーシェフ・松嶋亮さんと、「賛否両論」のマスター・笠原将弘さん。「知人の紹介で笠原さんと偶然知り合ったんです。同世代ということもあって、話しているうちに『もっと和食を盛り上げよう』って意気投合しちゃって」と松嶋さんは振り返ります。メニューは旬の食材と燻製料理で奏でる笠原さん監修のおまかせコース5,500円や、酒肴に最適なミニコース3600円などを用意。例えば、鶏の燻製に八丁味噌を合わせたり、イクラを燻製したしょう油で漬けたりと、見事にコラボを実現させます。

けむり×さんぴりょうろん
電話:03・5643・5039
住所:東京都中央区日本橋人形町2・10・7山田ビル2F
営業時間:月~金17:00~23:30(フード22:30、ドリンク23:00LO)、土17:00~22:30(フード21:30LO、ドリンク22:00LO)日・祝定休

Photo:野呂美帆、花村謙太朗、井上美野、sono(bean)
Text:船橋麻貴、河島まりあ

※こちらの記事は2016年12月20日発行『メトロミニッツ』No.158に掲載された情報です。

更新: 2016年12月8日

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