|地中海料理という、暮らし方。[14]|

地中海美食クルーズ Part02
第二寄港先は「アロセリア サル イ アモール」

各国の地中海料理1皿1皿の向こう側に!見える、多様な風土、歴史、食文化を感じていただける旅。名付けて、地中海美食クルーズ!次なる寄港先はスペイン!

[SPAIN]多彩な食文化を持つ国

地中海の西端、イベリア半島の大半を占めるスペイン。その中でも地中海料理は、地中海に面する、カタルーニャ州、バレンシア州、ムルシア州、アンダルシア州を中心に発展。

続いて訪れたのはスペイン地中海沿岸部。地中海世界の歴史的変遷を紐解けば、スペインもまた多くの異民族、異文化、異宗教が混交し、その影響を受けながら発達してきたことがわかります。船は、「300日晴れ」と言われるオリーブとワインの一大産地アンダルシアへ向かい、ムルシア、バレンシアを経て、ガウディ、ダリ、ピカソ、ミロ、フェラン・アドリアという天才を育み、地中海ダイエットのメッカである美食の街、カタルーニャはバルセロナを目指します。

イベリア半島の歴史が強く反映されたスペイン沿岸料理

異国情緒が今も漂うアンダルシア。目前のアフリカ大陸とは海を挟んで僅か14キロ。このため古来より多くの異民族の侵略を受け、食文化もまた色濃い影響を受けてきました。特に711年から約800年にわたりイスラム教国に支配されていたため、その食文化の香りが残る料理が特徴的です。またキリスト教諸国によるレコンキスタ(国土再回復運動)以降、豚や魚介など、異教徒の戒律に反する料理を食べることが名誉とされ、パエリアをはじめ、様々な料理に使われるようになり、スペイン全土に広がりました。ムルシアは、イスラム人によって建設され、その時に複雑な灌漑設備を導入したことで農業が発達し、裕福な都市として繁栄します。今では“スペインの野菜畑”と呼ばれ、豊富な農作物を輸出しています。この地の名物「カフェ・デ・マルタ」は、フランコ政権下の飢餓問題から生まれた、既存料理の食材を別のもので代用する「スセダネオ」の一つで、煎った大麦で代用したコーヒーの味のする飲み物です。続いて、オレンジ、米と言えばスペイン随一の生産地であるバレンシア。パエリア発祥の地としても世界的に有名ですが、本来はカタツムリ、ウサギ肉、鶏肉、野菜など山の幸を具にしたもので、魚介を使った“バレンシア風”パエリアは、実は1960年以降の急激な経済発展と観光ブームによって、意図的にブランディングされた、近代の国民料理なのです。ラストは多様な風土に恵まれ、ローマ時代から海運都市として繁栄を続けたカタルーニャ。この地もまた歴史的背景の影響を多分に受け、独特の食文化を育んできました。今なお、カタルーニャ料理は旧習に従った伝統と、最先端を匠に取り入れた独自性の高い料理を生み出しています。そして、世界を巻き込んだ「エル・ブジ」のフェラン・アドリア氏の料理が、肉より魚を好み、野菜を多く使い、油脂に頼らないといった特徴を持つ、まさに地中海食系の嗜好であることが、図らずも「地中海ダイエット」というスタイルに脚光を集め、料理人を経て家庭に至る様々な人々に影響を与え始めたのでした。

スペインの地中海料理

[サルモレホ]
家庭料理の代表的な一品で、南部のアンダルシアでは定番中の定番。食事の最初の一皿によく出される冷製スープです。メインの野菜はトマトのみとシンプルで、ニンニクも加えています。すりつぶしたパンとたっぷりのオリーブオイルも混ぜ合わせてあり、ボリューム満点。刻んだ生ハムとゆで卵のトッピングがアクセント。864円

[アルカチョファス・コン・アルメハス]
スペイン南東部のムルシア地方は、温暖な気候で野菜の一大産地。中でも特産のアーティチョークを使った料理は、家庭の食卓にもよく並びます。こちらでは、イタリアンパセリを使ったグリーンソースで煮て爽やかな味わいに。ソースに染み出したアサリの旨みと、アーティチョークの優しい甘味が相性抜群です。ハーフサイズ1,188円

[アロス・ネグロ]
現地ではパエリアは、週末に大勢で集まり、みんなで囲んで食べるような特別な日の料理です。全土で様々なパエリアが作られていますが、カタルーニャ州ではイカ墨で味付けした一皿がメジャーです。具材は小エビ、イカ、サメにパプリカなどの野菜。ニンニクを利かせたマヨネーズの「アリオリ」が欠かせません。3,672円

[チャトー]
カタルーニャの郷土料理で、軽い苦味がある野菜のエンダイブと現地の人はみんな大好きな塩鱈のサラダ。乾燥ピーマンやアーモンド、ヘーゼルナッツなどが材料のロメスコソースによる伝統的な味付けです。1,728円

[マルイモンターニャ]
料理名は直訳すると「海と山」。鶏肉とエビを使った、カタルーニャの山海の幸の煮込みです。とろみと風味付けに松の実やアーモンド、カリカリのパンなどをすりつぶした「ピカーダ」を使うのが特徴。2,592円

[エスガラッ]
パプリカのローストをマリネした、バレンシア地方で日常的に食べられる前菜です。ほぐした塩鱈とオリーブが具材で、基本の味付けは塩とオリーブオイルのみとシンプル。こちらではクミンを隠し味にプラス。1,296円

[アロス・カルデロ]
ムルシア地方で定番の汁気のある米料理で、現地の人は休日などに専門店で食べる、晴れの日の一品です。魚介のだしに乾燥ピーマンの果肉を風味付けに加え、具は小エビのみ。「アリオリ」も必須です。3,564円

Arroceria Saly Amor[代官山]

本場の食に造詣が深い2人のタッグ奥深い郷土料理と米料理の魅力

「カタルーニャやバレンシアなどスペイン各地方の郷土料理を、ストレートに伝えたいという思いが、お店を始めたきっかけの一つです」と話すのは、こちらのお店の代表のビクトル・ガルシアさん。ビクトルさんの父は、青山で約40年続く老舗スペイン料理店「エル・カステリャーノ」のオーナーで、ビクトルさんは小さい頃からスペイン料理に触れてきたこともあり、伝統的な食文化に非常に造詣が深いのです。そのビクトルさんが、オーナーシェフを務める宮﨑健太さんと出会ったのは、約10年前のスペイン留学中。現地で料理人をしていた宮﨑さんと意気投合し、将来2人で店を開くことを決めたそう。店は2012年のオープン後、すぐに人気になりましたが、その火をつけたのが郷土料理と並ぶ看板メニューで、日本では初めての業態でもある「アロセリア(米料理専門店)」の逸品です。「三脚が付いた底が丸い鍋で作る汁気の多い米料理『カルデロ』など、スペインにはパエリア以外にも米料理がたくさんあります。自分も大好きでアロセリアで修業しました」と、宮﨑シェフ。実は宮﨑シェフの奥様はバルセロナ出身。カタルーニャ地方にはよく足を運び、現地の味を研究したそう。お店は代官山の八幡通り沿いの地下にあり、隠れ家風。店内に入ると、色鮮やかな現地の陶器が彩る土壁の空間に、スペイン語の声が響き、旅気分と料理への期待が一気に高まります。スペイン人のファンが多いのも納得です。

Arroceria Saly Amorアロセリア サル イ アモール

住所:
東京都渋谷区代官山町12-19
第3横芝ビル B1F
TEL:
03-5428-6488
営業時間:
17:30~翌0:30(L.O.23:00)定休日なし
URL:
http://salyamor.com/

Text:メトロミニッツ編集部 店舗取材:Text:佐藤大志
Photo:柳大輔

※こちらの記事は2015年5月20日発行『メトロミニッツ』No.151に掲載された情報です。

更新: 2017年1月11日

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