これからの東京の農業

|EAT GOOD[11]|
TOKYO EAT GOOD STYLE
「大平農園」 前編

近所のスーパーでも、ネットの宅配でも、今は簡単に日本全国の新鮮な青果が手に入る時代です。しかし少し足元に目をやると、ここ東京にも真摯に農業を続ける生産者がたくさんいます。決して広大な土地で大量に生産しているわけではありませんが、彼らはその限られた条件の中でより良い作物を作るべく、工夫と努力を続けています。そんな東京の農業に従事する人たちに、会いに行きました。

世田谷区/大平農園

東京・世田谷に江戸時代から400年続く農家があります。と、これだけでも驚きなのに、ここ大平農園では、オーガニックという言葉も聞き慣れなかった48年前から、農薬と化学肥料を一切使わない有機農業を実践し続けてきました。

(写真)無農薬で化学肥料は不使用。堆肥を自家製し、野菜につく虫は網で駆除するなど、手間ひまをかけて育てる世田谷の大平農園。その畑の土に触れ、収穫された野菜本来の味わいをまずは実感しに現地へ

世田谷で守り続けられる有機野菜と、農園がつなぐ幸せな関係。

現在の当主、11代目の大平美和子さんの父、信彌さんは戦後の食料増産運動に取り組んだ、全国的に知られた篤農家。ただ、当時盛んに開発された農薬を自ら考案したビニールハウスの中で噴霧する毎日を送っていたところ、健康を害し65歳で帰らぬ人となります。美和子さんの夫、博四さんは約50年前のこの時、有機農業への転換を決断。「2、3年はまともに収穫できませんでしたが、土作りを続けたところ徐々に収量が増え、農薬時代に見られた野菜の病気までも減り始めました」と美和子さん。土作りに欠かせない堆肥は今も自家製。自宅や近くの庭の木の剪定後の枝や葉、古畳、おからなどに米ぬかを加えて発酵させた堆肥が畑にまかれています。

その畑はどんなものなのでしょう?大平農園の野菜を毎週定期的に直接購入する会員組織「若葉会」の定例行事に混ざって、見学に行きました。続きは後編でご紹介します。

大平農園の野菜を定期購入する若葉会会員の皆さん。大平農園の野菜は基本的に会員形式で販売されており、その会が若葉会。個人またはグループで入会でき、「虫食いなどがあってもできた野菜は買い取る」「個人は野菜を販売所までとりに来る」などの方針に賛同できる人のみ入会可能。週1回の購入日を火曜日か金曜日から選ぶ。数種類セットになった野菜の内容は日により異なり、1回の価格は約2,000~3,000円で量と質からすると非常に手頃。年会費は2,500円。写真右から6番目が大平美和子さん

Text:佐藤太志
Photo:山本尚明

※こちらの記事は2016年6月20日発行『メトロミニッツ』No.163掲載された情報です。

更新: 2016年12月5日

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