カルチャーミックスが生んだ焼肉という芸術品

|東京ミートアカデミー[12]|
?焼肉学部 カルビ専攻?
[レポート]体験入学

「食肉学校で教わった、大事なこと」
食肉のプロを養成する、日本で唯一の公的学校。そこで学んだ〝食べ手?にとっても大切なこと。

[レポート]体験入学 (社)全国食肉学校

東京から車で約2時間。群馬県南部の玉村町に、日本で唯一の公的な食肉専門学校がある。 ここでは、食肉に関するあらゆる知識や技術を体系的に教えてくれる。その内容は、食肉の歴史からナイフの持ち方、さばき方、骨学や原価計算、調理まで。さらに、職業能力開発校という側面も持ち、完全「全寮制」(定員56名、内女子寮完備!)。下は10代から上は60代までが寝食をともにし、みっちりと1年間、食肉のすべてと社会人としての素養を学んでいく。生徒は主に、お肉屋さんの倅や、食肉の生産者や流通など畜産業の後継者。ちなみに就職率100%!という、このご時世では物凄く有り難い実績もある。

そんなちょっと珍しい学校にお邪魔したのは、焼肉を脳でもしっかりと味わいたいがために、牛肉部位の分類や牛の品種についてなど、牛肉と牛についての基本を教えていただくためだった。師走のお忙しい時期にもかかわらず、丁寧に説明してくださったのは、普段は食肉のさばきを専門に教壇に立たれている三角英樹さん。三角さんは、この間起きた口蹄疫で最も被害が大きかった宮崎県川南町のご出身で、来春には宮崎に戻り、「新生宮崎」に向け力を注ぐそうだ。

「枝肉として、また食用として流通されるお肉は幸せ者だと思います。食べてもらえる可能性があるからです。口蹄疫で命を絶たれた牛や豚達は、無念だっただろうなと思い、胸が痛みます」
取材前にやりとりをしていたメールの中で、三角さんは口蹄疫被害のことをそんな風に語った。そして、口蹄疫被害が描かれた物語『牛が消えた日』を読んで欲しいと、紹介してくれた(http://ushigakietahi.jp/からダウンロード可能)。ご存知の方も多いかもしれないが、宮崎の農家への取材をもとにした作品で、インターネットで話題になったもの。フィクションではあるが、その現場の苦しみや悲しみがありありと伝わってくる。三角さんの「無念だっただろうな」という言葉が、もっと重く響いた。

「私たちの仕事は、と畜によって絶たれた命に、新たな命を吹き込む仕事だと思います。学生にも、命をいただくことを大事に思い、この業界を担ってもらいたいと、指導しています」 途中から、学校の話とはあまり関係なくなってしまったが、私たち食べ手にとっても大事なことを、三角さんに教えていただいたように思うから、誌上″体験入学?に代えて。

食肉の歴史や骨学、原価計算などの知識を身につける座学と、ナイフの持ち方から牛や豚のさばき方、カットの仕方、さらに加工や調理を学ぶ実習実技の他、1年コースでは精肉店や焼肉店など実際の店舗で働きながら実習を行う郊外実習も。コースは1年間もしくは6カ月の「総合養成科」と、業界経験者を対象とした3.5カ月の「食肉販売科」の3コース。食肉業界で働きたい!という方、ぜひ!

社団法人 全国食肉学校
TEL:0270・65・2571
住所:群馬県佐波郡玉村町大字樋越1794

Text:野中あみ
Photo:徳田洋平

※こちらの記事は2011年1月20日発行『メトロミニッツ』No.098掲載された情報です。

更新: 2016年12月2日

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