精鋭の蔵元たちが選んだ
東京美酒の名店ガイド

|SAKE INNOVATION[14]|
日本酒の実力派パイオニア!
「GEM by moto」恵比寿

先だって、編集部は「SAKE COMPETITION」の歴代受賞蔵の皆様にこんなお願いをしました。「東京で日本酒が美味しく飲める店を教えて下さい」と。で、これより、日本酒の精鋭たち(蔵元)による名店ガイドをお届けします!

※本企画では、全93名の蔵元の皆様にご協力いただきました(どうもありがとうございました)。各店のご紹介はそれぞれの方の推薦コメントとともに展開いたしますが、皆様のお名前のところにある写真(瓶)はあくまで各蔵のイメージであり、ご推薦いただいた店で取り扱いがあるものとは限りません。また、社名の隣のカッコ内はその蔵の代表銘柄です。

日本酒の“これから”を体感できるバルの仮面を被った実力派パイオニア!


今回、蔵元からダントツの支持を集めたのが「GEM by moto」。日本酒好きにはおなじみ、新宿「日本酒スタンド 」で店長をしていた千葉麻里絵さんの新店です。
場所は恵比寿で、一見バル風のこじゃれた雰囲気。なるほど、今度はワインのように日本酒を楽しむ店ね…そんな想像を、気持ちよいほどバッサリ裏切ってくれる千葉さん。そう、ここは千葉さんの考える新たな仕掛けが詰まった場所なのです。
その1つが、氷温熟成冷蔵庫。これは-5℃で動きが止まる酵素の特性を生かして保存することで、より味わいを乗せるための設備。例えば、発泡した生酒なら、1年以上が経過しても、繊細な泡やフレッシュ感はそのまま、丸くたおやかな味わいに。一般的な熟成酒とはまったく違う、新感覚の日本酒になるのです。
さらに、店に並ぶのはほとんどが四合瓶。飲食店で扱われるのは一升瓶が一般的ですが、そうなると、アルコール分が低く、軽やかなタイプの日本酒は管理が難しい。四合瓶がスタンダードになれば、飲食店ではリスクが減り、さらに四合瓶を扱う酒屋が増えれば、消費者は自宅では扱いづらい一升瓶より四合瓶を喜んで買うはず。テーブルワインならぬ“テーブルサケ”を広めたい、そんな千葉さんの思いが込められているのです。
「今の日本酒人気を、単なるブームにしたくない」と話す千葉さんが見据えるのは、日本酒の未来。だから、新しい挑戦をことさら「大変だけど頑張ってます!」と自己主張することなく、「大変だけど、うちでやれるなら他でもできる。モデルケースとして、みんなが真似すればいい」というスタンス。これぞ、無償にも思える日本酒愛!「宝石(GEM)を磨くように、日本酒の価値を高めたい」という千葉さんが、蔵元から支持を受けるのは至極当然。ここは、まさに日本酒の“これから”を体験できる場所と言えるでしょう。ま、そんなことを微塵も感じさせないフランクで心地よい雰囲気が、またこの店に惹かれてしまう理由でもあるのですが。

左/定番「ブルーチーズハムカツ」650円と右/「鴨ロースと秋野菜のたき合わせ」950円。料理は日本酒との相性を考えて作る

左/コジーな雰囲気のお店。右/おすすめの4本。左からハムカツにぴったりの甘みと酸があるシェリー樽熟成酒「木戸泉 マシェリ2008」、繊細な「山形正宗 雪めがみ」、爽快でビール代わりに楽しめる「新政 ヴィリジアン+エクリュ」(PB)、ジューシーな「クラシック 仙禽」(PB)。各グラス700円~

店奥の氷温熟成用冷蔵庫では、ここでしか飲めないPBを含めた300本ほどが飲み頃を待つ。提供する日本酒のうち、約5割が氷温熟成。“燗の名手”として知られる千葉さん、もちろん氷温熟成酒も、さまざまな温度帯で多彩な味わいを引き出す

|このお店を推薦する蔵元|

栃木県 小林酒造[鳳凰美田]/小林正樹さん

「型にとらわれることなく、優しくナチュラルに日本酒の魅力を伝える、ナンバーワンのお店だと思います」

滋賀県 福井弥平商店[萩乃露]/福井毅さん

「開放的で温かみを感じる雰囲気の中、気鋭の造り手の日本酒と、それを引き立てる実験的な料理を味わえます。店主がセレクトする日本酒との思わぬ出会いと展開に身を任せるのも、大きな楽しみ」

山形県 酒田酒造[上喜元]/内藤大輔さん

「日本酒の提供方法、料理との相性などに工夫を凝らし、日本酒のことを真摯に思ってくださる知識豊富な店長がいらっしゃいます」

岡山県 白菊酒造[大典白菊]/渡辺秀造さん

「店主の日本酒に対する深い知識と愛情を至る所にちりばめた、宝石箱のようなお店。店主自ら蔵元に出向いて納得した銘柄だけを取り揃え、こだわりの料理とともに最高の状態で提供しています。日本酒入門希望の人々が続々と詰め掛けているお店です」

福島県 夢心酒造[奈良萬]/東海林伸夫さん

「新宿『?』系列の新店舗。今までの立ち飲みスタイルから、恵比寿という場所柄も考え、ちょっとおしゃれな居酒屋に変身。しかし、外見とはうらはらに、お酒は劣化を考え日本酒はほぼ四合瓶、バックヤードの冷蔵庫は-5℃と、普通の居酒屋とは別格の商品管理。料理も出汁にこだわったものが多数揃います」

Text:唐澤理恵、辺土名 悟(グリンゴ)
Photo:奥山智明、今井広一、依田佳子、柳大輔

※こちらの記事は2015年10月20日発行『メトロミニッツ』No.155に掲載された情報です。

更新: 2017年1月11日

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