エレガントでロマンのある

|羊肉の饗宴[6]|
羊料理の魅力を味わえる店②
「couscous Rougir」「ZURRIOLA」「SITA-RA」

ヨーロッパ、アジア、中東、アフリカ、アメリカ、そしてオーストラリアやニュージーランドまで、世界各地で愛されている羊肉。日本の羊肉料理と言えば、確かにジンギスカンくらいかもしれませんが、今、東京をめぐってみれば、これだけ素晴しい羊肉料理の数々に出合えます。

ビストロ「couscous Rougir」

炭火焼仔羊のクスクス アツアツの南部鉄器で供され、スープは長時間煮すぎず素材の旨みが抜ける前に止めるのが美味しさの秘訣。写真はMサイズ2,592円。右下は手作りの辛味ペースト「アリサ」で、旨みを増幅する辛さ

スープにメインがのった新感覚の贅沢クスクス

店名に冠した「クスクス」は、ゲストが必ずオーダーするほどの看板料理。4種の中でも一番人気を誇るのが、「炭火焼仔羊のクスクス」です。元々クスクスは、北アフリカからヨーロッパ各地へ広がった粒状のパスタ。フランスでは肉や野菜を煮込んだスープをかけて食べるのが定番ですが、このクスクスは大量の野菜、白ワイン、羊の旨みが凝縮したトマトベースの鶏ガラスープの上に、Mサイズでも250gの炭火焼仔羊がドカンと鎮座。「コスパ、味、軟らかさで選んだ」という仔羊は、程よく脂と赤身が混じったオーストラリア産の肩ロースを使います。香ばしい肉の内側は長時間煮込んだかのように軟らかく、スープをたっぷりかけたクスクスと見事に融合。さらっと食べられるのに奥深い味わいの虜になること請け合いです。以前から羊もクスクスも大好きだったというオーナーシェフの金子浩二さんは、「エノテカ」のレストラン部門で総料理長を務め、西麻布のレストランのシェフを経て2012年に独立。羊以外の肉や魚介のメニューも豊富で、ワインの造詣が深い金子さんが選んだ南仏中心のワイン約50種が揃います。このクスクスはミネラル感のあるロゼと相性抜群だそう。

クスクス ルージール
TEL:03・6407・1988
住所:東京都世田谷区北沢3・21・5ユーワハイツ北沢1F
営業時間:18:00~23:00LO 水定休

スペイン料理「ZURRIOLA」

36時間調理された 北海道しずお農場仔羊肩ロース ロゼ色のコンフィディナーコース12,960円の一品(期間限定で提供)。ソースと付け合わせに加賀レンコンを使うなど日本の恵みを取り入れる

唯一「これならば」と選んだ国産仔羊に36時間かけて成立するシェフ渾身の1皿

日本の四季の食材を取り入れたモダンスペイン料理をおまかせコースで展開する「スリオラ」は、現在ミシュラン二ツ星。写真の料理は、オーナーシェフの本多誠一さんが4年間修業したスペイン北部の街・サンセバスチャンで感銘を受けた料理が原点で、吊るした仔羊を薪で4時間以上かけて焼く山間部の料理をもとに考案したそう。手に入る最高の素材を探して唯一お眼鏡に叶ったのは、北海道しずお農場で飼育されたサフォーク種の仔羊。非常に柔らかく、濃厚な味わいが特徴で、中でも旨みが強い肩ロースを使います。「肩ロースはローストすると少し硬くなって、煮込むと柔らかくなるけど少しパサつくので。その中間になるよう模索しました」と本多シェフ。辿り着いたのは、ニンニクや辛口のシェリー酒で風味付けした低温のオリーブオイルで仔羊を36時間煮て、最後に表面をパリッと焼く方法。その仕上がりは、肉の断面はムラのない完璧なロゼ色、軟らかさはまるでスポンジケーキ。知らずに食べたら、「この美味しい肉は何の肉?」と思うような未知の旨みが広がります。他の仔羊でも試したものの、この肉でこの手間暇をかけないとこの味を出せないのだとか。本多シェフの妥協しない精神が生んだ、傑作と呼びたい1品です。

スリオラ
TEL:03・5730・0240
住所:東京都中央区銀座6-8-7  交詢ビル4階
営業時間:11:30~13:00(13:00LO)、土・日・祝11:30~13:30(13:30 LO)/ 18:00~21:00(21:00LO)月定休

インド料理「SITA-RA」

パヤ(骨付きラム足の煮込み、ハイデラバードスタイル)秘伝のスパイスは、グリーンカルダモンよりも芳香が強いブラウンカルダモンの他、クローブなど。3月までの限定メニュー。1,800円。

秘伝のスパイスで丸1日煮込むハイデラバードの冬のごちそう

オープンして丸10年。東京のインド料理史は「シターラ以前、シターラ以降」で線引きされるのではと思えるほど、日本人が描くいわゆる「カレー」の概念に一石を投じたのが、こちらの洗練されたインド料理の数々。それもそのはず、インドの超高級ホテルグループオーナー家の専属料理人に伝わるヘルシーなレシピと五ツ星ホテルの洗練されたレシピがベース。従来のインド料理とは異なり、油や辛さは控えめ、食材を引き立てる巧みなスパイス使いがシェフの腕の見せどころです。現在、冬期限定で出しているのが、骨付きラム足の煮込み「パヤ」。パヤとは足のことで、セラチン質たっぷりのひづめの部分を使用しています。さらさらしたスープをひと口含むと、調和のとれたスパイスとラム足から出たダシのうま味がじわりと広がり、肉はほろりと崩れる柔らかさ。ムガール帝国の支配が及んだ歴史もあるインド南部・ハイデラバード州の伝統料理です。羊とスパイスのみを1日中ことこと煮込むごちそうは、スパイス効果で体を温めるスープとして、冬の朝に食べることも多いそう。ヒンドゥー教徒もイスラム教徒も食べられる肉、羊は、ひづめから脳まであますところなくいただける、親しみ深い食材なのです。

シターラ
TEL:03・5766・1702
住所:東京都港区南青山5・7・17 小原流会館B1F
営業時間:11:30~14:30LO、18:00~22:00LO毎月最終日曜定休

Text:松本典子、浅井直子、木村千夏
Photo:井上美野、小倉亜沙子

※こちらの記事は2015年2月20日発行『メトロミニッツ』No.147掲載された情報です。

更新: 2016年11月26日

この記事が気に入ったら
「シェア」しよう

最後までお読みいただき、ありがとうございます

pagetop