日本酒新時代のムーブメント

|SAKE INNOVATION[9]|
日本酒の進化を紐解く12のキーワード
12 Keywords of Evolving Sake
【06 TERROIR】【07 CINEMA】

日本酒の進化について、大きな流れを掴んでいただけたでしょうか? こちらでは、さらに12のキーワードから、日本酒に関わる様々な現場で起きているイノベーションな事例を、シリーズでご紹介していきます。

【06 TERROIR】 その一杯から見える、風土

技術革新による酒質の向上はもちろん、造り手の考え方の進化も日本酒新時代を象徴する要素。風土を醸す日本酒版テロワールへの挑戦が、今まさに行われようとしています。

日本酒版テロワールって何?フランスのシャトーが持つテロワールの概念とは少し違うかもしれませんが、“風土を醸す”と解釈すればイメージしやすいかもしれません。自社田で米造りを行い、その米と水を使い、地元の人間が酒を醸す。こういった米造りからはじまる酒造りを実践する(目指す)酒蔵が増えつつあります。完全ドメーヌ化を打ち出した栃木の「仙禽」(せんきん)、福島の「会津娘」(高橋庄作酒造店)や「弥右衛門」(大和川酒造店)は兼業農家の酒蔵ですし、福岡の「田中六五」(白糸酒造)も地元産山田錦にこだわった「糸島テロワール」を酒造りの目標に掲げています。多くの酒蔵が高水準のお酒を造れるようになった今、“風土を醸す”ことに個性を見出す気運は今後も続くはず。そんな中、政府は「日本酒」や「ジャパニーズ・サケ」の定義を「国産米と国内の水を使って国内で造られた清酒」に限定する方針を年内にも決定する模様。曖昧だった日本酒の定義が明確になることで、日本人が持つ風土という概念が世界へ発信されていくことにも期待しましょう。

(左)「会津娘」が毎年手段を変えながら有機栽培を行い、経験値を上げるための試験田。(右)稲刈りには欠かせない鎌に銘柄を刻印する辺りにも、アグリ酒蔵としてのプライドを感じます。

【07 CINEMA】 酒にまつわる映画、続々公開

c2015 映画一献の系譜製作上映委員会

「一献の系譜」

吟醸酒造りの礎を築いた能登杜氏四天王、彼らの流儀を受け継いだ現役2トップの坂口幸夫杜氏と家修杜氏、さらには能登杜氏初の女性杜氏のデビューや若手杜氏の葛藤にもフォーカスし、酒造りに懸ける職人たちの実像に迫ります。理想の一献を目指し、技を極める能登杜氏の生き様を描いた長編ドキュメンタリー。

配給:シンカ

「KAMPAI! FOR THE LOVE OF SAKE」

京都で「玉川」(木下酒造)を醸す初の外国人杜氏フィリップ・ハーパー氏の挑戦、岩手から世界へ進出する銘酒「南部美人」の5代目蔵元・久慈浩介氏の奮闘、“日本酒伝道師”として活躍するジョン・ゴントナー氏の情熱。日本酒に魅せられた男たちの人間ドラマから、日本酒の魅力を描きます。2016年春劇場公開。

「The Birth of SAKE」

石川で「手取川」を醸す老舗、吉田酒造店が舞台。家族のように寝起きを共にし、酒造りという神秘的な仕事に汗を流し、全員で食卓を囲む蔵人たち。日系アメリカ人監督が切り取った光景は、見事に日本人の心を捉えています。公開未定につき、まずはトレーラー(http://www.birthofsake.com/)を鑑賞ください。

Edit:浅井直子
Text:馬渕信彦

※こちらの記事は2015年10月20日発行『メトロミニッツ』No.155に掲載された情報です。

更新: 2016年12月7日

この記事が気に入ったら
「シェア」しよう

最後までお読みいただき、ありがとうございます

pagetop