[Tokyo Elite Restaurant]
kinoe

夏目治樹

文:立岡美佐子
写真:鈴木彩

恵比寿のにあるレストラン「kinoe」。こちらでいただけるのは、伊、仏、和食の技法を駆使し、食材の美味しさを引き出した夏目シェフのお料理です。ゆったりとした空間で、旬の味覚を堪能できます。

夏目治樹(なつめ・はるき)

1970年生まれ、東京都出身。小学生のときに食べた鉄板焼きに感動し、料理人を志す。料理学校を卒業後「ヒルトンホテル」に就職。様々な厨房で経験を積んだ後、25歳で恵比寿の「ティムズNY」のシェフに抜擢される。3年後には、同じく恵比寿にオープンしたイタリアン「リコス・キッチン」でシェフを務め、厳選した旬の食材を使用した料理が反響を呼ぶ。2015年1月15日、満を持して、自らがオーナーシェフを務める「kinoe」をオープンした。

小学5年生のときに訪れた鉄板焼きに感銘を受け、料理人の道へ

小学生の頃から料理に関心があったという夏目シェフ。手作りにこだわるお母様の手伝いでよく一緒に台所に立ったといいます。「母が、お菓子やジャムなど作っていたのを覚えています。僕も手伝いをするうちに料理に魅力を感じるようになり、野菜を切ったり、炒めたりしていました。お菓子でも買っておいで、とお小遣いを渡されても、駅前の八百屋でキャベツを買ってきて、千切りにした思い出もあります(笑)」

そんな夏目シェフが本格的に料理人の道を志したきっかけは、小学5年生の時に家族で行った鉄板焼き。「あれは本当に衝撃的でした。そもそも鉄板焼きを知らなかったのもありますが、目の前で料理人が食材を調理し、料理が出来上がっていく様子が圧巻だったんです。カチャカチャと見事な手さばきで肉を切り、最後にお酒をいれてボワって香りづけをするところなど見惚れてしまいました。そして、出来上がった料理がまた美味しいんですよ。僕もあんな風にかっこよくなりたい!と思って料理人を志しました。まだ自分が進みたい料理のジャンルも決まってなかったので、小学校の卒業文集には“ステーキ屋のコックさんになる”って書いたのを覚えています」
料理の専門学校を卒業した後は、ホテルや様々な厨房で修業を積みました。当時は、忙しい合間に時間を見つけては、レストランを巡ったり、料理本を買ってきて勉強したりしていたといいます。

いきなりのシェフ抜擢。試行錯誤を繰り返した日々

そんな夏目シェフに転機が訪れたのは、25歳の時。知り合いから、恵比寿にオープンするレストラン「ティムズNY」のシェフを引き受けてくれないかという依頼が舞い込んできました。まだ若いから、とはじめは断ったものの「どうしても」と言われ引き受けることに。

突然のシェフ抜擢。初めての経験ばかりで戸惑うことも多いなか、一番頭を悩ましたのが、お店の売上だったと夏目シェフは語ります。「元々のお店の形態がサンドイッチ屋さんだったんです。ランチには沢山の方が来てくれるんですけど、ディナーだとなかなか難しくって。サンドイッチの種類を変えるなど色々試してはみたのですが、売上には結びつきませんでした。それでオーナーに“サンドイッチ以外の料理も作らせてほしい”と頼んでみたんです。とにかく美味しいものをお客さんに食べてほしくて、メニューやドリンクなどを一新しました。最初の半年はなかなか売上に繋げられず、辛かったときもありますが、それから後は沢山の人が来てくれるようになりました」

“美味しさ”を追求した先に見つけた、旬の食材を最大限に活かす料理

ティムズNYで働きはじめてから3年後、お店のお客さんだった方から引き抜きを受けた夏目シェフは同じく恵比寿にオープンしたイタリアン「リコス・キッチン」のシェフを任されることになりました。以前から、ただひたすらに“美味しいこと”を追求してきた夏目シェフがある価値観に気がついたのもこの頃だったといいます。
「僕は、コテコテに調理した料理ってあまり好きじゃないんです。例えば、刺身はただ切っただけですが“鯛の上品な味がする”とか“イカの甘みと弾むような食感がたまらない”とか、それだけでも感動できるじゃないですか。原点の鉄板焼きではないですが、自分の料理は良い食材をいかに美味しく提供するかなんだってことに気がついたんです」
食材の味を活かした料理を作るために大事なことは、良い食材を仕入れること。そしてその素材の美味しさを最大限に引き出す方法で調理すること。そのためには、全国の生産者との絆や日々の研鑽が欠かせません。

「野菜やハーブ、魚介類などの食材については、長いお付き合いがある全国の農家や業者の方から仕入れています。あと、当たり前のことではありますが、業者の方には常に感謝の念を持って接していますね。そしてその上で、良いと思ったら良い、悪いと思ったらその旨をしっかり伝え、気に入ったものは値段を気にせず仕入れています。そんな関係が、もう20年くらいになるのかな。なので、向こうも僕の好みを熟知しているんです。ですから、これは受けるだろうというものを探って持ってきてくれます。こういう人と人とのつながりはとても大切ですね」

調理法についても、勉強や研究を欠かさないといいます。「若くして料理長になったので、技術や知識面で足りないことがいろいろあったんです。我が家の料理本の品揃えとボリュームは、本屋にも負けませんよ(笑)」。ジャンルとしては、イタリアン、フレンチ、和食と様々あり、なかでも和食の本が一番多いとのこと。「魚の捌き方とか包丁の入れ方とか、理にかなっているものが多いんですよ。本でわからない時は、実際にお店に食べに行き、調理法について聞いたこともありますね。今は昔ほど読みませんが、時々読み返しています」

ゆったりと季節の美味を堪能できる、隠れ家的レストラン

2015年1月15日、自身の料理哲学を詰め込んだ「kinoe」を恵比寿にてオープン。“季節の恵”という店名どおり、その時期一番美味しい食材を最高の調理法で仕上げ、提供します。「お店の場所選びには苦労しました。2年くらい探してやっとここを見つけたんです。決め手は、光が差し込む大きな窓ですね。僕はランチの気持ちいい店を作りたかったんです」
季節感を大事にする夏目シェフのこだわりは、お店の内装や食前酒にも息づいています。「店内においてある季節の草花は、週単位で取り替えています。あと、最初に出すスパークリングは、白とロゼの他に、秋は巨峰、冬はイチゴなど、絞りたての季節のフルーツを使用したものを複数ご用意しています」

食材についても、野菜は千葉県の柴海農園さんをはじめとする農家から無農薬野菜を直接取り寄せ、魚介に関しても築地に出入りされている目利きの方から、旬のものが一番美味しいタイミングを教えてもらい、仕入れるようにしているとのこと。「料理をする際に気をつけていることは、ひたすら真面目に自分が納得したもののみを提供すること。そのために食材の良さを最大限に引き出す方法を日夜研究しています」

そんな夏目シェフに今一番気になっていることを尋ねると「この時期はやっぱり鯔子(ぼらこ)だね」とのこと。「季節ものなので、このタイミングで良いものを買い込みカラスミに仕込まなきゃいけないんです。築地に出入りしている目利きからの連絡を待っているのですが、一体いくらに跳ね上がるのだろうか気がかりでしょうがありません(笑)」。

また、今後の目標については「後継者を育てていきたいです。もう一軒お店を増やして任せられたらいいですね。やっぱり今の僕がいるのは一緒に店をやっているスタッフのおかげですからね」と語ります。

 

旬の食材に目を向けながらも、人と人とのつながりを大切にし、それがまた良い食材や美味しい料理へとつながる。幼いころに鉄板焼をみて感動したという「かっこいい料理人」の姿がそこにあるのです。

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KINOE

KINOE

キノエ

エリア
恵比寿
ジャンル
イタリア料理
営業時間[昼]
平日12:00~15:00(13:30LO)、土日祝11:30~15:30(14:00LO)
営業時間[夜]
18:00~23:00(20:30LO)
定休日
不定休

kinoeキノエ

[昼]平日12:00~15:30 (13:30 L.O)、土日祝11:30~15:30 (14:00 L.O)
[昼] 18:00~23:00 (20:30 L.O)
不定休

住所:
東京都渋谷区恵比寿南1-18-9
TimeZoneヒルトップビル4F
TEL:
03-6338-3089
URL:
http://www.kinoe-ebisu.com/

更新: 2018年1月17日

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