[Tokyo Elite Restaurant]
Ristorante YAMAZAKI

矢島直樹

文:河崎志乃
写真:松園多聞

日本にイタリアの「リストランテ」を再現しその魅力を伝え、以来31年間、変わらず愛され続けてきた「リストランテ山﨑」。数々の名シェフを育てたこの店で現在キッチンに立つのは、イタリア料理界の次世代を担う情熱家。

矢島直樹(やじま・なおき)

1981年埼玉県生まれ。システムエンジニアを経て服部栄養専門学校へ入学。「リストランテ山﨑」の三代目シェフである濱崎龍一さんがオープンした「リストランテ濱﨑」で約6年間修業したのちイタリアに渡り、ミラノの二ツ星レストラン「イル ルオーゴ ディ アイモ エ ナディア」で約3年間、そのほかトスカーナやシチリア島、ピエモンテなどで研鑽を積む。イタリアで修業中に「リストランテ山﨑」の山﨑順子さんと出会い、2015年1月同店の六代目シェフに就任。

創業31年。日本にイタリアの風を吹き込んだ1軒のリストランテ

1986年4月2日、イタリア料理といえばまだピザやスパゲティくらいしか馴染みがなかった日本で、東京に1軒の「リストランテ」がオープンしました。マダムを務めるのは山﨑順子さん。銀座並木通りのルイ・ヴィトン路面1号店の初代マネージャーから、自分で飲食店をやりたいと思い立ちイタリアへ。その頃の日本といえば、フランス料理界では「オテル・ドゥ・ミクニ」の三國清三シェフ、「オー・シザーブル」(現 箱根オーベルジュ オー・ミラドー)勝又登シェフ、「クイーン・アリス」の石鍋裕シェフなど、名だたるスターシェフが活躍し華やかに輝いていた時代。一方本格的なイタリア料理はまだまだ知られておらず、山﨑さんは本物のイタリア料理の魅力を日本に伝えたいと思ったのです。

イタリアに渡り、まずは料理学校で学びながら、1年半ほど各地を遊学。そして、当時イタリアで初めてのミシュラン三ツ星を獲得しイタリアの料理界を変えたグアルティエーロ・マルケージさんと出会ったことで、ただのイタリア料理店ではなく、洗練された「リストランテ」を日本に開きたいという思いに目覚めます。「上質な時間を楽しむイタリアの『リストランテ』の文化を、日本の人にも知ってもらいたい」。そう心を決めて、マルケージさんの元で働いていた24歳の寺島豊さんをシェフに迎え、東京の南青山に「リストランテ山﨑」をオープンしたのです。マルケージさんの「インサラータ スパゲッティ コン カヴィアーレ(キャビアのサラダスパゲッティ)」を日本風にアレンジした「冷たいキャビアのスパゲッティ」をスペシャリテに、最新のイタリアの味を日本に紹介しました。

以来毎年のようにイタリアへ足を運び、現地の食を感じ続けてきた山﨑さん。そして「この人は」と思う若き料理人たちと出会ってはスカウトし、「リストランテ山﨑」のシェフとして活躍の場を提供したのです。「イタリアで今、この人の料理を日本に伝えたいと思える料理人をシェフに迎えています。そしてこの店でさらに素晴らしいイタリア料理人として花開いてくれるのが、私の喜びでもあるのです」と山﨑さん。初代の寺島豊さんに続き、二代目のシェフを務めた日高良実さんは「アクアパッツァ」、三代目のシェフを務めた濱﨑龍一さんは「リストランテ濱﨑」などなど、歴代のシェフが「リストランテ山﨑」を経て、日本のイタリア料理界を代表する名店の主人となりました。

「心と愛」を胸に、イタリア料理の真髄を伝える料理人

そして、現在「リストランテ山﨑」のキッチンに立つのが矢島直樹さん。食材や料理に対する真摯な姿勢が山﨑さんの目に留まり、六代目のシェフとして迎えられました。矢島さんはシステムエンジニアをしていましたが、一度きりの人生、どうせなら自分の好きなことをして生きたいと料理の道へ。23歳で服部栄養専門学校へ入学し、卒業後「リストランテ濱﨑」へ。お客さまを思い、スタッフを思い、情熱を込めて料理を作るという濱﨑シェフの元、イタリア料理の基礎を学びました。

約6年間の「リストランテ濱﨑」での修業を経て、30歳でイタリアへ。ミラノの二ツ星レストラン「イル ルオーゴ ディ アイモ エ ナディア」で約3年間研鑽を積みます。アイモさんナディアさん夫妻が営む、50年以上の歴史を持つイタリア料理の名店。マルケージさんと並ぶ2大巨匠と言われるアイモさんは、ヌオーヴォ・クッチーナ(新しい料理)の先駆者として知られるマルケージさんに対し、徹底的に素材にこだわり、素材を活かすシンプルな料理のスタイルを貫いた料理人。そのアイモさんの元で矢島さんは、食材の“その瞬間の表情”を切り取り皿の上に表現する、イタリア料理の真髄を学んだのです。

「イタリアでは、素材を大切にし、シンプルにその良さを活かすイタリア料理ならではのスタイルを教わりました。そしてアイモさんはいつも、『料理はクオーレとアモーレ(心と愛)だ』と言っていました。私もその言葉を胸に、すべてのお客さまに愛を込めて料理を作っています。大切な人に食べてもらう料理には、自然と心がこもりますからね」と矢島さん。食材ひとつひとつを吟味しそれぞれをしっかりと主張させつつ、時には細やかに、時には大胆に、美しい料理の数々を作り上げていきます。

全ての食材の良さを引き出し、香りとともに表現する

イタリア料理らしく食材にこだわり、それぞれの良さをシンプルに引き出すことにこだわる矢島さん。ひと皿の中で使う食材の組み合わせにも意味があり、見た目の華やかさのためだけに無駄なものを加えることはありません。情熱的な色彩が印象的な「赤の彩食」も、マグロの中トロの旨味、イチゴや自家製フランボワーズビネガーの酸味、ドライトマトやアーモンドのペーストのコク、赤玉ネギのピクルスで輪郭をくっきりと、すべての食材になくてはならない役割があり、全体が調和することで深い味わいが生まれ、食べる人に快楽をもたらします。

【赤の彩食】
本来は、赤の色づかいを得意とした画家 ヴィットーレ・カルパッチョにちなんで名付けられた牛の生肉料理である “カルパッチョ”。その牛肉の代わりに日本人に馴染みの深いマグロなど赤い食材でアレンジしたひと皿。

また、「香り」も矢島さんの料理の大切なポイント。「グリーンピースのリゾット」にあしらわれたグリーンピースの新芽も、華やかな見た目だけではなく、口にした瞬間に広がる青々とした爽快な香りで、春の菜園の情景を表現しています。「鴨と黒糖、インサラータ・ビアンカ」は鴨に黒糖の甘い香りやスパイスの香りで燻製をかけてから焼き上げることで、あふれる肉汁とともにその香りを花開かせています。「秋のビアンコ・マンジャーレ」ではアーモンドやスターアニス、巨峰、アールグレイ、赤紫蘇など、さまざまな香りをそれぞれ異なる食感とともに表現。その全てを合わせて口に運ぶことで、華やかな味わいを楽しませてくれます。そんな矢島さんの料理は、ワインなどのお酒をどう合わせるかによって、さらに表情豊かに。「リストランテ山﨑」のソムリエが提案するワインペアリングとともに味わうことで、食事の楽しみがさらに深く広がっていきます。

【グリーンピースのリゾット】
甘みのあるイタリア産のグリーンピースと毛ガニの旨味を合わせ、パルミジャーノやミルキーなストラッチャテッラで軽やかに仕上げた春のリゾット。グリーンピースの新芽が見た目にも味わいにも華やかさを添える。

「ただお客さまの喜ぶ顔を見るだけで、どんな苦労も忘れられます」という矢島さん。その日来てくださるお客さまを笑顔にするために、日々料理に情熱をささげています。今後はさらに、2020年の東京オリンピックに向けて世界中のどんなお客さまにも喜んでいただける料理をめざし、同世代の他のジャンルのシェフとも積極的に交流しながら、料理の知識を深め腕を磨いています。「リストランテ山﨑」の歴代のシェフたちのようにイタリア料理界を牽引し、これからの新たな時代を担う料理人へ。矢島さんの情熱と愛情がこもった料理の数々を、「リストランテ山﨑」の洗練された空間で堪能しましょう。

【鴨と黒糖、インサラータ・ビアンカ】
北海道産の鴨を、熱々に仕上げ大胆にカットしたロースト。一口噛み締めれば、鴨の旨味が凝縮された肉汁が弾け飛ぶ。そして、白いサラダが鴨の味わいをしっかりと受け止める。

【秋のビアンコ・マンジャーレ】
アーモンドが香るなめらかなブランマンジェに、スターアニスのゼリーとみずみずしい巨峰、サクサクとした食感が心地良いアールグレイのクランブルを合わせた季節のデザート。赤紫蘇をあしらいすっきりとした後口に。

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Ristorante YAMAZAKI

Ristorante YAMAZAKI

リストランテ ヤマザキ

エリア
乃木坂
ジャンル
イタリア料理
営業時間[昼]
11:30~14:00(LO)
営業時間[夜]
18:00~21:00(LO)
定休日
日曜日、第一月曜日(月が祝日の場合は営業、翌火曜代休)

リストランテ山﨑リストランテ ヤマザキ

営業時間[昼]:11:30〜14:00
LO営業時間[夜]:18:00〜21:00LO
定休日:日・第1月

住所:
東京都港区南青山1-22-10 
ウエスト青山ガーデン2F
TEL:
03-3479-4657
URL:
http://ristorante-yamazaki.jp/

更新: 2017年12月1日

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