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む日本酒【2】 お酒をオーダーするための心得、予備知識 

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上手い言葉で好みの味を伝えたい
お酒をオーダーするための心得

美味しいお酒との出合いを求め、日本酒の種類が充実したお店に行くとする。しかし、漢字がズラリのメニューを見ても味が想像できず、どれを選べば良いかわからない。しかも、お店の人に好みの味を何と伝えたら良いのかも…。

 

実は味わいの違いはわずか
4タイプから好みを見つける

 空間、料理、そしてお酒。さしつさされつ、ゆったり時間を過ごすには、やはりこの三拍子が揃ってこそ。当然、お酒のチョイスも外したくはありません。しかし、まずお店で立ち止まるのが、自分が好きなタイプのお酒を言葉にしてお店の人に伝える、その表現方法。「辛口」「甘口」、はたまた、近頃ではむしろ辛口と言わない方が良いらしい…など、特に日本酒初心者は、お酒を表現する言葉に翻弄されがちです。そこで話をお聞きしたのは、名誉きき酒師の高城幸司さん。「言葉を探す前に、大前提として日本酒の味わいがどんなものかを考えましょう」と言いながら、実はソムリエでもある高城さんらしく、日本酒の味の幅をワインとの比較から話をしてくれました。

point1

「ワインはコクと酸みのバリエーションが幅広く、味の差異が明確なお酒。一方、日本酒は味の違いが微妙です。ピンとこないかもしれないので、身近な例え話を。皆さんが好きなラーメンについて語るとしましょう。ラーメンという大きな枠の中で、とんこつが好き、いや醤油が良い、やっぱり味噌でしょうって盛り上がりますよね。それがワインの枠だとしたら、ラーメンの中でも醤油ラーメンについて好き嫌いを語るのが日本酒の枠。醤油味という限定された枠の中で違いを語るのは難しいですよね。それと同じようなことなんです」
前提として、日本酒の味はワインと比べて狭い枠の中にある。ということは、表現に使う言葉もさほど多く覚えなくて済むのでしょうか?
「そうです。よくある辛口や甘口という表現はいったん忘れてください。まず、大きく分けて2つ。軽やかな〝スッキリ〟タイプか、フルボディの〝しっかり〟タイプ、どちらが自分の好みか。さらに、スッキリの中で香りが華やか・穏やか、しっかりの中で甘み強め・うまみ強め、とそれぞれ2タイプに分かれます。計4タイプなら覚えやすいでしょう?」
ちなみに、「スッキリ」と「しっかり」が把握できれば、料理とのペアリングも大まかな法則が見えてきます。スッキリタイプはさらさら飲めるけれど、特にこれといった料理との相性はない、と高城さん。しかし、しっかりしたお酒が持つうまみは、料理と合わせた時に掛け算の美味しさを生み出す力を持っているのです。

 

ajiwai日本酒の基本的な味わいとは?
日本酒に含まれる主な味わいの要素は、甘み、酸み、うまみ、そして香り。近頃は心地良いクリアな酸を感じさせるお酒も増加。香りは味わいの印象に影響するが、香りが強いか弱いかの把握のみで構わない。

point2

基準の銘柄を知って
好みをスマートに伝える

 飲食店で日本酒オーダーした時に、「何かおすすめを…」とお願いしたら、「普段はどんなお酒を飲みますか」と聞き返されたという人もいるのでは。そこで具体的な銘柄を口にできると、オーダーされた側もお客の好みがつかみやすくなります。
「例えば、典型的なスッキリ香り華やかタイプと言えば、山形県の『出羽桜』。そのタイプが好きならば、『出羽桜』のようなお酒を飲みたいと伝えれば良いし、それよりも今日は香りが高いお酒が飲みたいと伝えれば、好みを大きく外すことなく新しいお酒に出合うことも可能です」
ただし、ポイントは基準酒となる銘柄。詳しい銘柄はPOINT2の囲みを見ていただくとして、避けたいのは、流通の数量や地域が少ない銘柄を基準にしてしまうこと。
「生産量が少ないながらもファンがついている京都の『蒼空』というお酒がありますが、いくら気に入ったからといって『蒼空』を基準にしても、お店の人でさえピンとこない場合もあります。メジャーなアイドルより地下アイドルについて熱く語られても、思い入れは伝わりますが、会話が盛り上がらないでしょう。もちろん、お気に入りのお酒があるのは楽しいことですが、人に好みを伝えることが前提であれば、代表的な銘柄の味わいを覚えて、共通言語を持つことが大切です」

point3 ところで、そう言えば日本酒ってワインの「アロマ」と「ブーケ」のように、フルーツや花の香りに例えるような香りの表現力も磨いた方が良いのでしょうか?
「ブドウという果実と異なり、日本酒は原料の米がもたらす甘みとうまみが持ち味で、口に含んだ時にふくらみと余韻を感じるお酒です。特に純米酒だったらどこまでいっても米の香りがあるだけ。そこから無理やりフルーツや花の香りをかぎとる必要はありません。香りが強いか弱いかを把握するだけで十分です」
好みを的確に伝えられるようになれば、日本酒とのひと時がもっと楽しく広がるはず。大切な人を誘って、ぜひ今宵の1杯からスマートなオーダーをお試しあれ。

 

IMG_2523.実高城幸司さん
日本酒サービス研究会専務理事、名誉きき酒師任命委員。またワインソムリエでもあるが、本業は人事戦略コンサルティング会社・セレブレイン社長。多数ある著書はビジネス書が中心だが、近著は『「日本酒」を語れる本』(ワニブックス)。日本酒に開眼したきっかけの銘柄は「黒龍」

 

>>>さらにワンポイント
味を想像させてくれる言葉

これまで挙げた3つのポイントに加え、実はこれらの言葉からもお酒の味わいを想像することができるかもしれない。原料米の品種と造りの言葉。知っておけば、オーダーする楽しみがいっそう広がるはず。

 >>>お米の言葉
「山田錦」「雄町」
そもそも、日本酒を造る米は「酒造好適米」と言われ、普段食べているお米とは区別されている。しかしながら、メニューやお酒のラベルで見かけても、お米とお酒の味の繋がりがよくわからないのが正直なところ。表現する言葉として完璧に覚える必要はないが、「クリアな味わいが飲みたいから山田錦のお酒はありますか?」といったように、逆引き事典として頭の片隅に入れておくと役立つ。以下、高城さんに、うかがった主な酒造好適米6種類。もちろん、造りによっても味わいが異なってくるので、あくまでも傾向としてざっくりつかんでおきたい。

■山田錦
酒造り向きの「酒造好適米」のトップに君臨する米。気品のある酒質が欲しい時に使われる傾向が多い

■雄町
山田錦に比べてボリューム感があると言われる。濃醇なうまみが個性的で、「雄町が一番好き」と言い切る熱狂的ファンも

■美山錦
するっとした飲みやすさが特徴。ワインのブドウ品種で言うと、名脇役と言われるカベルネ・フラン的存在

■五百万石
比較的クセがあり、マニアックな米。若干苦みもあるが、特徴を活かしてスッキリ爽快な酒も造られている

■出羽燦々
きめ細かく凝縮感のある深い味わい。甘みが独特で、点で集まっているような印象を受ける

■ゆきの精
コシヒカリの流れを汲む、新潟県産米。山田錦に似た味わいで香りが出やすく、スッキリ系の酒が多い

 

>>>造りの言葉
「生酛」「山廃」
メニューや酒瓶のラベルで見かける「生酛」(きもと)や「山廃」(やまはい)という言葉は、どちらも自然に任せたお酒の造りを指す言葉。それ以外の造り方は「速醸」と言われる。前者は乳酸菌が自然に発生するのを待つクラシックな手法で時間がかかる。一方後者は、乳酸菌を添加するため時間も手間も短縮できる。味わいへの影響としては、「生酛」や「山廃」はうまみが複雑でどっしりしたボリューム感がある。では、同じ自然派な造りの「生酛」と「山廃」の味わいの違いはどこかと言えば、酸み。「生酛」は、米をすりつぶすこともあって、ヨーグルトのような乳酸菌の酸みがいっそう出やすいと言われている(ちなみに「山廃」はすりつぶさない)。

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自然に任せて造る「生酛」や「山廃」は、「速醸」に比べると複雑な酸み、うまみが特徴となる

 

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