【連載】名店の主義と感性が交差する|血統の一皿[3]|
EPISODE 02 : 名店から生まれたセカンドライン
ラ・トルチュ|猪口玄洋シェフ

日本を代表する名料理人、名店。料理やサービス、店づくりに対する想いを受け継ぎながら、自らの“色”を打ち 出している。そんな名店のセカンドラインを、元となるお 店(1st)の主義と感性をお伝えしつつご紹介。

02「ラ・トルチュ」フランス料理/広尾

テロワ=大地の料理をコンセプトに掲げ、自然の恵みを表現した華麗なひと皿で食べ手を魅了する吉野建シェフ。その世界観に浸れる特別なレストランが「タテル ヨシノ 銀座」とするなら「ラ・トルチュ」は思い立ったらすぐに行ける気軽さが個性。対称的に映る両店ですが、シェフによれば親子のような関係にあるといいます。

血統の一皿

牛タンとフォアグラのルクルス
2,415円
軽くスモークした牛タンと、フォアグラを何層にも重ねて、ミルフィーユ仕立てに。シンプルに粗挽きの粒胡椒を添えて提供。付合わせは季節野菜でこの日はインゲン、胡桃など。

前進する心で結ばれた師弟関係

(写真右)|1ST CHEF|吉野建さん 1952年鹿児島県喜界島生 まれ。79年に渡仏。97年に はパリに自身の店「ステラマ リス」を開業し、ミシュランで 星を獲得するほどの評価を 得る。「タテル ヨシノ 銀座」 のオープンは2008年。 (写真左)|2ND CHEF|猪口玄洋さん 1979年熊本県生まれ。飲 食関連の企業で調理を学 んだ後、渡仏し、パリのビス トロで修業。帰国して憧れ のタテル ヨシノに入り、約5 年研鑽を積む。2014年より 「ラ・トルチュ」のシェフに。

「ひと口にフランス料理と言っても、新しいことに挑むモダンな料理がある一方で、伝統的なビストロ料理だってある。どちらも同じフランス料理。切り離して考えることはできません」。そう断言する吉野建シェフ。「銀座があって、広尾があって、初めて私のフランス料理は完結する」。そうして誕生したのが「ラ・トルチュ」なのです。ビストロとしてカジュアルに徹し、値段も手頃ですが、メニューには「ルクルス」を始め、吉野シェフのスペシャリテが多数。サービスも心地良く、クオリティはレストランと同等です。「銀座は大切な日に、広尾は日常的に。そんな風に使い分けて頂けたら嬉しい」。店を任されたシェフは猪口玄洋さん。抜擢された1年半ほど前を「偉大なシェフに認められたと感じて嬉しかった」と振り返ります。「私と似た部分がある」と吉野シェフは猪口さんを評価。「前に進もうとしている。若さもあって、グイグイと攻めている印象」。吉野シェフも攻めるタイプ。「動いている方が好き」と今も、新しい食材、調理法、美味しさを求めて全国を飛び回っています。ふたりには同じようにエネルギッシュな、サービス精神が宿っているのでしょう。「料理人は天職。自分の好きな仕事を通じてお客様を喜ばせることができるのですから」と吉野シェフが言えば、猪口シェフも「美味しいものを作って人を喜ばせたい気持ちは強いです」と異口同音。「理想を思い描き、形にしていく。それは料理も人生も同じ」。「ラ・トルチュ」は吉野シェフの理想の一端を担う大切な場所なのです。

左)サーモンのミ・キュイ ス テラマリス風2,625円。驚くほどレアに近い食感。レモンクリームソースで爽快感も加味 右)鶏のムースとトリュフを詰めた豚足のパン粉焼き2,730円。豚足は6時間ほど煮込 んでトロトロの食感。ムースを芯にして巻き、俵型に成形 

レストラン タテル ヨシノ 銀座

|1 S T| レストラン タテル ヨシノ 銀座

パリ「ステラマリス」で本国の美食家に認められた吉野建シェフの現在の旗艦店といえるレストラン。有機野菜が持つ本来の甘さ、肉が醸す野趣溢れる滋味などを意欲的に取り入れ、故郷の自然に原点があるというテロワの料理を華麗に仕上げ、自身の世界観を披露している。店内のブルーは喜界島の海から着想。
TEL:03・3563・1511 住所:東京都中央区銀座4-8-10PIAS GINZA 12F
営業時間:11:30~14:00LO、18:00~21:00LO 無休

La Tortueラ・トルチュ

La Tortue

住所:
東京都渋谷区広尾5-14-14 1F
TEL:
03-6459-3713
営業時間:
11:30~14:00LO、18:00~22:30LO(土・日・祝17:30~ 22:00LO)
定休日:
無休
URL:
https://www.facebook.com/latortue.hiroo/

Photo 菊池陽一郎 Text田代いたる

※こちらの記事は2016年1月20日発行『メトロミニッツ』No.159掲載された情報です。

更新: 2016年10月28日

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