連載】名店の主義と感性が交差する

|血統の一皿[6]|
名店から生まれたセカンドライン
EPISODE 06
奥田ー銀座ー【五十嵐大輔】

06「奥田」日本料理/銀座

憧れる師匠の看板を守る高揚感

今や世界中の人に愛される日本料理。奥田透さんは「銀座 小十」 で、その心髄を真っ当に披露し、世界を魅了してきた当代随一の 料理人。しかし、「小十」と同じビルで営まれる「銀座 奥田」は奥 田さんにとっていわばライバルのような存在かもしれません。 全幅の信頼を置く、五十嵐大輔さんが料理長を務めています。

師の世界観を踏襲し、料理人としての己も表現

五十嵐さんは複数の日本料理店で研鑽を積んだ後、念願を叶えるため、30代半ば で「小十」の門を叩いた料理人。「奥田さんの料理はインパクトがあり、実際に食べ ても深く記憶に刻まれる力強い味ばかり。いつか一緒に仕事をしたいと思ってい ました」。奥田の開店はおよそ5年前。前任の料理長が「OKUDA Paris」開店で渡仏 したのを機に、抜擢されたのが五十嵐さんでした。「経験と年齢。これが決め手で す。技術はこれまでのキャリアできっちり会得していますし、料理人としての姿 勢も素晴らしい」と指名の理由を振り返る奥田さん。それから3年。「奥田の看板で やっていますから」と食べた瞬間に旨いと唸る素材感の表現を最も大切にして暖 簾を守っています。「奥田さんの料理は素材感を大切にした上で、どこかに必ず心 地良い裏切りがある」。決意する一方で五十嵐さんの個性を表す料理も誕生。例え ば、虎河豚と九条葱の炊き込みご飯です。「去年の冬、雑炊以外で河豚を美味しく 食べる〆ものをと思って試作し、奥田さんに相談しました」。ひたむきな姿勢に 「五十嵐さんの方が新しい料理を考えるのが上手」と笑う奥田さんですが、力のあ る料理人だと認め、信頼しているからこそ期待もするのです。「小十の色はしっか り残しつつ、自身の良いところを料理に反映させて、お客様に伝えられている。後 は人の上に立つ才を磨いていって欲しい」。そして、そのために奥田さんも決意を 新たにするのです。「奥田の料理長として五十嵐さんの威厳や権限は私が守ってや らねばなりません。常に別格。それが料理長ですから」

1ST CHEF【奥田透さん】

 1969年静岡県生まれ。99 年静岡で「春夏秋冬 花見 小路」を開店。2003年「銀 座 小十」を開く。2012年に 同店の移転を機に「奥田」 も開き、2013年にはフラン ス・パリに「OKUDA Paris」 もオープン。

2ND CHEF【?五十嵐大輔さん】

 1977年青森県生まれ。数 軒の日本料理店で修業し た後、十割蕎麦を学ぶた め、「銀座 流石」へ。「流石 はなれ」で料理長を務めた 後、「銀座 小十」へ。2013 年に「銀座 奥田」料理長に 就任する。

|血統の一皿|

鰆の味噌幽庵焼き
尾崎牛のサーロイン
夜餐(18,300円?)の焼物。脂はさっぱりしていて旨みは強い尾崎牛、柚子のほろ苦さも絶妙の幽庵焼きに菊芋のスライスチップや甘酢大根、人参の胡麻クリーム和えなどをあしらった。

椀。炙った帆立を粗く刻み、真丈に。蓋を 開けた瞬間、感し゛る馥郁たる出汁の香りに確 かな仕事を感し゛る

虎河豚と九条葱の炊 き込みこ゛飯。河豚は酒蒸、炭火焼、2種の調理 法を駆使。葱も主役級の旨さ。黄色い粒はフィ ンカ゛ーライムという果実。酸味を付与している

【1ST】銀座 小十

2003年の開店以来、世界中の食通が通い詰める日本料理の名店。味に、盛り 付けに、主役となる素材の存在感が際立つ料理は迫力もあり、豪快そのもの。 だが、一方で季節や調理法によって出汁や水まで替えるなど、繊細な仕事ぶり も光る。昼夜ともに、緩急ある構成も見事な、おまかせコース1本で勝負する。

銀座 小十
電話:03・6215・9544
住所:東京都中央区銀座5-4-8カリオカビル4F
営業時間:12:00? 13:00LO、18:00?21:30LO 日・祝定休

銀座 奥田ギンザ オクダ

銀座 奥田

住所:
東京都中央区銀座5-4-8
カリオカビルB1F
TEL:
03・5537・3338
営業時間:
12:00?13:00LO、18:00?21:30LO 日・祝定休
URL:
http://www.ginzaokuda.com/

Photo:岡本寿
Text:田代いたる

※こちらの記事は2016年1月20日発行『メトロミニッツ』No.159に掲載された情報です。

更新: 2016年11月25日

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